如月寒波もようやく去り、弥生三月がもうすぐやってきます。
この三月という月は高田瞽女 杉本家にとってとても意味深いものです。
杉本家、キクイ瞽女。高田瞽女一と言われた唯一無二の瞽女。
その杉本家にはキクイ瞽女と双璧をなし、掟の元に生きたキクイ瞽女とは正反対に自由な生き方をした姉弟子のカツ瞽女が存在しました。
対照的な二人の瞽女に共通していたのは、ずば抜けた芸のうまさ。
そして、この三月という月に生涯を閉じているということ。
カツ瞽女は大正九年の三月の旅の途中にスペイン風邪がもとで四十四歳の生涯を閉じました。カツ瞽女を看取ったキクイ瞽女も昭和五十八年三月に旅立っています。
この二人の瞽女さんを一枚の絵に収めた作品が、瞽女ミュージアム高田にございます。

『赤倉瞽女の死』
作 斎藤真一
旅の途中に行死して横たわるカツの亡骸。その姿を前に泣き崩れるキクイの姿。
斎藤真一の赫い色がその心情を際立たせます。
一年の中で、この時期だからこそ皆さんに観て頂きたく、3月1日から展示いたします。
絵画と併せてカツ瞽女が亡くなった時代の関連資料の展示もございます。
なお、この企画展はこの時期限定の特別展となります。
皆さまのご高覧お待ちしております。